最近忙しかったのだが、その理由は転職活動。
時間を作っては、会社を訪問させてもらったり、ソフトウェアショーなどを見学したりして、
色々な自分の可能性を求めて歩き回っていたのだ。
つい最近、ある会社の部長さんから「一度会ってみたい」というありがたいお言葉を頂き、
これ幸いとばかりに、
履歴書や職務経歴書、そして志望動機などを細かくメモしたカンペなどを手に、
思い切って、その会社の門を叩いてみることにした。
某日某所、某ソフトウェア会社の接客室には、
「大好きな北海道を日本のシリコンバレーにしたい!」
そんな夢を胸に潜めつつ、
お茶をすすりながら何とか緊張を抑えようとしている私がいた。
待つこと10分。
軽快な足音とともに、彼は机と椅子しかないその寂しい部屋のドアをノックした。
ハリス「ナイスツーミーツー、まきさん。」
まき「ナイスツーミーツー、ハリスさん。」
米国出身のタウンゼント・ハリス部長(仮名、男性)の登場である。
ハリス「メンセツはエイゴでしますか? ニホンゴでしますか?」
まき「今日は体調が悪いので日本語で・・・。」
ハリス「オーゥ、アイシー、アイシー。」
まき「・・・。」
軽快に挨拶を済ませ、
私の履歴書をジロジロと舐めるように見回しながら、
ハリス部長は次々と質問を投げかける。
ハリス「シボウリユウは?」
まき「はい、頚部圧迫による窒息死・・・いやいや、御社の経営理念に共感し・・・。」
ハリス「ハハン?」
ハリス「アナタのトクイなゲンゴは?」
まき「はい、北海道弁・・・いやいや、JAVAやUMLを少々・・・。」
ハリス「アーハン?」
小一時間ほど問答を繰り返し、ここまでは前日のシミュレーション通りである。
自分で言うのも嬉しいが、我ながら完璧である。
ハリス部長の頬も心なしか紅潮しているように見える。
ここで突然、傍らでその問答をメモしながら聞いていた人事部の部長(日本人)が、
メガネの淵をキラリと光らせながら、余りにもありきたりな質問を。
人事部長「んで、あなたの長所は?」
まき「えッ!?」
し・・・しくじったッ!
ありきたり過ぎて、全くもって考えてないッ!
まき「えーっと・・・リーダーシップとか?」
動揺の余り、答えもありきたり、しかも若者口調である。
人事部長「もう少し掘り下げて質問していいですか?」
まき「はぁ・・・。」
人事部長「んじゃ、短所は?」
まき「!?」
どこをどう掘り下げたのかよく分からんが、
こうなったらままよッ!
まき「えーっと・・・諦めが早いとこ?」
人事部長「!?」
く・・・口を滑らせたッ!
ソフトウェア開発者としては致命的過ぎるッ!
人事部長「しょ・・・正直ですね・・・。」
この人事部長の裏をかく様な質問を最後に、本日の面接はこれにて終了。
結果は2、3日後にメールで連絡をいただけるということに。
ハリス部長とのやり取りはまずまずと言えるものであったが、
問題は、果たして人事部長の質問への答えがどう受け取られるかである。
彼のお言葉にもあったように、正直であると良い意味で捉えてもらえれば幸いだが、
果たして結果は如何なるものに。
期待と不安を繰り返しつつ、返事を待つこと2、3日。
ついに私のメアドに、ハリス部長からの「面接の結果のお知らせ」が届いた。
dear マキさま
誠に残念ではございますが、貴意に添えぬ結果となりました。
貴殿の今後のご活躍をお祈り申し上げます。
your friend タウンゼント・ハリス
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公家か、俺は?
まぁ確かに、私が人事部長であっても、
諦めが早いやつなど、まず採用しない(泣)。
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