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黄色いシビックとHCOC
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今月のHCOC一言
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★2002年1月16日〜19日
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実はですね・・・。
私は以前、ライダーでした。
プラモデル全盛期に育った私は、
周りの友人がガンプラ(ガンダムのプラモデル)に熱中する中、誰に見せるともなく、
SUZUKI GSX1100S刀のプラモデルを何個も何個も作り続けておりました。
大学に入学して真っ先に取りに行った免許は、中型二輪免許。
そしてアルバイトで必死に貯めたお金で初めて購入したバイクは、
まさにその憧れだったGSX1100S刀です。
・・・と言いたいところですが、実際に購入したバイクは、
中型二輪免許で乗れて、車検もなく、維持費も安いということで、
排気量がその4分の1にも満たない、GSX250S刀でした。

本物の刀マニアからは、
GSX1100S刀のレプリカとしてあまり良い目では見られていなかったGSX250S刀。
友人からも、刀ではなく、やれ小刀だ、やれ果物ナイフだと冷やかされました。
それでも私にとっては、やっと手に入れた憧れの宝物でした。
学校から帰っては車体をピカピカに磨き、
ドライブしては流れゆく爽快な風を愛車と共に感じ、
GSX250S刀と過ごす毎日を、この上ない幸せと共に満喫しておりました。
大切に大切に乗りながらも、関西ではめずらしく雪の積もった夜、
雪道の怖さなど知らない若くて無謀な私は、調子に乗ってアイスバーンの上を走り回り、
愛車とサヨナラすることになってしまったのです。
愛車の姿は、無常にも作りかけのプラモデルみたいになってしまいました。
二度と無謀な運転はしないと誓った1年後、
私が再びお金を貯め、購入することを決めたバイクは、
またしてもGSX250S刀でした。
今思うと、それほどまでに好きだったんですね、小刀が。
2台目の小刀に対しては、以前の反省もあり、
車体の整備だけでなく、運転にも愛車を愛する気持ちを込めるように心がけました。
再び、愛車と共に風を感じながら過ごす日々が始まりました。
東京で働いていた妹から、遊びに行くよという連絡があったのは、それから1年後でした。
よっしゃ、お兄ちゃんがこの小刀であちこちドライブに連れて行ってやろう、
と整備・洗車にいそしんでいたとき、突然後ろから声を掛けてきたのは、
皮ジャン、皮パンに身を包み、爆音を上げる大型バイクにまたがった我が妹でした。
しかもハーレーダビッドソンです。
我が妹「お兄ちゃん、お買い物付き合って!(かわいい声)」
を期待していた私に掛けられた第一声は、
我が妹「お兄ちゃん! 乗りなっ!(ダミ声)」
でした。
そのときに後ろに乗せられてドライブに行ったときの気持ちと言ったら、
うれしいやらなさけないやら・・・。
妹の小さかった背中が、とてつもなく大きく感じられたのは言うまでもありません。
(続く・・・)
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大学を卒業し、東京で働くようになってからは、
バイクや車を維持するのも容易ではありません。
再び私が乗り物に興味を抱くようになったのは、
それから2年後、札幌への転勤が決まったある冬のことでした。
札幌では、通勤にも使うことを踏まえ、バイクではなく自動車を購入することに決めました。
真っ先に頭に浮かんだのは、
小さな頃、SUZUKI GSX1100S刀と同じくらい憧れてプラモデルを作り続けた、
黄色いランボルギーニ カウンタックです。
そう、私の夢は、赤銀のGSX1100S刀と黄色のカウンタックに乗ることだったのです。
しかしながら、
一介のサラリーマンである私にカウンタックが購入できるわけはありません。
つーか、もはや作られてないし、売ってません。
「せめて黄色い車に乗りたい!」
これが車購入の第一コンセプトでした。
当時はアコードワゴンを初めとした、ワゴン系の車が大流行でした。
アコードワゴンにはちょっと手が届かなかった私、
手探りで探し始めた車は、黄色いカローラワゴンでした。
見つかるわけありません。
見つかったとしても、サイドに"○×商店"とかロゴが入っちゃってます。
そんなとき、バスでの通勤中、ふと車窓から見かけたのが、
颯爽と駆け抜ける白いワンダーシビック。
そう言えば、大学時代、私のバイク自慢に唯一耳を傾けてくれた友人が、
私と同じようにワンダーシビック自慢をしてたよなぁ・・・。
そんなにシビックっていい車なのか・・・。
バスからふと見かけた白いワンダーシビックとある想い出、
これが私の車探しの方向性を180度変えてしまったのです。
私の車購入の第一コンセプトは
「黄色いシビック」
ちょっとだけ具体的になりました。
探し始めて約2週間後、見つけました。
黄色いハッチバックのシビック。
EGもEKも分からなかった当時、
そのシビックがEG−6なのかEG−4なのかももちろん分かりません。
ただ覚えているのが、素人目に見ても、車体が明らかに傾いているということでした。
店員さんに問い詰めること30分、ようやく口を割りました。
事故車です。
事故車であることをずっと隠し続けていたこのお店、これ以上信頼できません。
時間の無駄です、却下です。
とってもかっこいい車だったのに、残念です。
それからもディーラーさんを含めて探しつづけること約3週間、
私の手の届く範囲では、
札幌には程度の良い中古の黄色いシビックが存在しないことを知りました。
そんなとき、ディーラーさんが「試しに乗ってごらん」と持ってきてくれたのが、
グラナダブラックパールのオートマのEG−4です。
4万キロしか走っていなくて、
前オーナーの女性が大切に乗ってくれたということで、車内も綺麗です。
私は決断しました。
これください!
ただし・・・。
黄色に塗ってくれ! そう、カーニバルイエローに!!
車体が決まると、ちょっと欲が出てきます。
すこしでもカウンタックのような憧れの車に近づけたい。
その思いが、BOMEXフルエアロの空輸を決断させました。
柿本改のマフラーの購入を決断させました。
無限もSPOONも知らない私が、少しでもカウンタックに近づけたいという思いから、
幼稚な知識で選んだパーツがその2点だったのです。
正直、無限のフロントバンパーと同じ価格でフルエアロ揃えられちゃう、
そのお手頃さにも惹かれました。
社内のみんなに自慢しました。
とうとう決まった! 黄色のシビックだ!
・・・と。
返ってくる反応は冷たいものでした。
レスキュー隊か?
ロゴは入れなくていいの?
くやしいっ!と思いながらも、自分も、黄色に全塗装されて、
BOMEXフルエアロと柿本改のマフラーに身を包んだ愛車を、
まだ実際にこの目で見たわけではない。
もしかすると、本当にレスキュー車が納車されるかもしれん・・・。
不安だ・・・不安で仕方がない・・・。
そんなとき、ディーラーさんから納車の電話が届いたのです。
(続く・・・)
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とうとう来ました。
ディーラーさんから納車のお知らせが!
期待2%、不安98%で車を取りに行きます。
ディーラーさんで車のキーを渡され、保険の話などをまず始めます。
きちんと聞かなくてはと思いつつも、
50メートルくらい離れた隣の工場に置かれているであろうMY シビックが、
気になって気になって仕方ありません。
そんな仕草に気が付いたのか、ディーラーさん、
ディーラーさん「あ・・・ごめんなさいね・・・。まずは・・・見ますか!!」
腰が引けて歩けない私を、ディーラーさん、やさしく工場まで手を引いてくれます。
ディーラーさん「ご注文通りの自信アリです! まきさん!」
ディーラーさん、そう叫んで工場のシャッターを豪快に開けます。
そこには、私が思い描いた以上にかっこよく綺麗に仕上げられた黄色いシビックが、
まだ見ぬ境地を楽しみにせんとばかりに静かに佇んでおりました。

まき「カ・・・カウンタックだ・・・。(勘違い)」
諸手続きを済ませ、あまりのうれしさに、そのままあてもないドライブに出かけます。
道行く人々全てが、テレビでしか見たことがない黄色いカウンタックに、
びっくりして振り向いているような気がしてなりません(だから勘違い)。
憧れの車を手に入れた私、ますます欲が深くなります。
もっといろいろなかっこいいシビックを見てみたい!
知識も技術も何もない私、たくさんのシビックのオーナーさん達といっぱい語り合い、
一緒に北海道中を駆け巡りたい!
HCOC北海道設立のきっかけでした。
HCOC東京さんのホームページをお借りしてメンバー募集をさせてもらって間もなく・・・。
引っかかり入会希望のメールが来ました。
この人から・・・。
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伊藤さん
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聞くところによると、私よりも2つもお兄さん、EG−9 FERIOのオーナーさんです。
今では大変失礼なことと思っていますが、
当時私は、FERIOはファミリーカーだというイメージを持っていました。
そしてこの伊藤さんは、私よりも2つ年上で、しかも奥さん、お子さんもいらっしゃる。
完全にファミリーカーを想像していた私は、初めての入会希望者と会うべく、
今では毎月HCOC北海道メンバーの憩いの場となっている、
環状通りのロッテ●アに車を走らせたのでした。
(続く・・・)
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ドキドキしながらロッテ●アの駐車場で待つことしばし・・・。
ファミリーカーの登場を完全に予想していた私の目の前に現れたのは、
af誌の巻頭に乗りそうな完璧な大技小技を散りばめてメイクした(山崎さんの表現引用)、
今までに見たこともないかっこいいボーグシルバーのEG−9 FERIOだったのです。

まき「ディ・・・ディアブロだ・・・。」
私は、予想だにしなかったこのスタイリッシュなFERIOの登場に、
しばし呆然と立ち尽くしました。
まばゆいばかりの赤レカロから身を乗り出した一人の男。
とても2つもお兄さんには見えない若々しい容姿のその男は、
腰が抜けて動けない私にこう呼びかけます。
男「はじめましてぇー!!」
ひゃっ! は・・・はじめまして・・・。
ボンネットを開けてもまたビックリ!
私のシビックにはないDOHC VTECの迫力と、
そのTune-upのスマートさに、またしても開いた口がふさがりません。
立ち話もなんだということで店内に入った我々二人。
簡単に自己紹介を済ますも、外に佇むボーグシルバーが脳裏に焼き付いて、
どうしても緊張がほぐれません。
とてもじゃないが、会長として恥ずかしい質問などできない私、
彼に対する始めての質問は、
まき「お・・・お子さんはおいくつですか?」
でした。
キミのシビックなど、ひと目見ただけで全て分かる・・・あえて野暮な質問はしないのだ!
そんな余裕ぶりをかもし出そうと努力するも、
男「あのマフラーすごいねー。何パイ?」
まき「パ・・・パイ?」
はい、それまでです。
それにしても・・・。
こんなかっこいいシビックが、今までどこに隠れていたんだ・・・?
私は世間の広さに驚かされました。
これはスゴイ、これはスゴイぞっ!
これから何人メンバーが増えるのか知らないが、
俺のシビックなんて足元にも及ばないだろう・・・。
私は今でも、新メンバーのシビックに驚かされることは少なくなく、
毎回個性的なTune-up、Dress-upに新鮮さを感じています。
こんなかっこいい車が集まって、
いつかこのロッテ●アの駐車場を占拠するようなことになったら・・・。
店側からしてみれば迷惑この上ないに違いないなんて壮大な光景だろう・・・。
そしてそんなかっこいい車が何台も1列に並んで楽しく走れたら・・・。
いつしかその夢は、少しずつ少しずつ、現実味を帯びてゆくのでした・・・。
完
ちなみに・・・。
そんな頃、イギリスに留学中のハーレーダビッドソンを操る我が妹から、
久しぶりに電話がありました。
まき「よう、妹よ! お兄ちゃんな、シビックのチーム作ったんだ! 北海道で!」
我が妹「へぇー、実は私もハーレーのチーム作ったんだ!」
まき「!?」
我が妹「ロンドンで!」
まき「!?」
妹の背中は、私を後ろに乗せてドライブに連れて行ってくれたときよりも、
遥かに大きくなっていたのは間違いありません。
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