HCOC一言  
    
2003年の正月

今月のHCOC一言


2003年1月4日10日


正月は実家に帰省し、

婆(ばぁ)孝行をしたり、友人夫婦と仲良くドンジャラをしたりと、

それなりに楽しい正月を満喫していたわけだが、


なにしろ田舎なもんで、

人と会っている時間以外は、とにかくヒマでしょうがない。


前回帰省したときは、「iアプリ将棋」とかいう文明機器に少なからず助けられたのだが、

勝てないから言うわけではないが、はっきり言って、それも飽きた。










まぁ、ヒマだヒマだとゴロゴロしてばかりいても仕方がないので、

さて何をしようかとアレコレ悩んだ挙句、

お袋の車を借りて、近所のプラモ屋まで車を走らせてみることにした





コンビニや書店などをウロウロした後、

お昼過ぎにお目当てのプラモ屋に到着。


ガンプラやバイクのプラモに夢中になった"その世代"の私は、

当然のごとく、そのプラモ屋の埃っぽい、けど懐かしい雰囲気にしばし酔いしれた。





















来て良かった










ひと通り店内を見回した後、

ちょっと奥まったところにあるカープラモコーナーで、

RX−7やGT−Rなどのスポーツカーに紛れて、

こんなイカしたプラモを発見。





















CIVIC EG−4 VTi










「EG−6 SiRが売り切れでEG−4 VTiだけが在庫アリ」

というのがちょっと不満だったが、とりあえずこれは買うべしッということで、

お尻のポケットから財布を颯爽(さっそう)と取り出し、いそいそと持ち金をチェック。





値段を確認しながらレジまで持っていこうとしたそのとき、

箱の表面のちょっとした違和感に気付き、


ふと、足を止める。





















1.5L DOHC VTEC










いつからEG−4 VTiはダブルカムになったのだ?

もしかしてB15Aとかいう新種のエンジンなのか?





さすがプラモ、ここらへんは適当だなぁなんて笑いながらも、

もしかしたら自分が知らなかっただけで、

ホントは欧州あたりで限定生産で作られていたのかもしれないということで、

正月中に失礼とは思いつつも、新年の挨拶がてら、副会長であるミッチーに電話。










  まき「おぅ、ミッチー、あけましておめでとう。」

  ミッチー「おめでとう、今年もヨロシクね。」


  まき「いきなりだけどよ、EG−4でよ、1.5L DOHC VTECってあるか?」

  ミッチー「はぁ!? ないよ、そんなの。」


  まき「そっかぁ、サンキュー、ではまたッ!」

  ミッチー「・・・。」










ひと安心したところで、

本体単品だけではちょいと寂しいってことで、

少しばかり欲を出して、















下地用のホワイト

全塗装用のイエロー
別売ホイール
スピードラインコンぺ2
タイプ2108SC
プラカラーのうすめ液

ブラシ










などを購入。















そんなこんなで、家に帰って早速プラモの箱を開け、

このダブルカムのEG−4 VTiをどう改造しようかとアレコレ悩むままに、


テレビのつまらない正月のヒマな夜は、

楽しく、そして充実したものとして、ゆっくりと更けていったのである。

















  HCOC北海道ホームページの掲示板に、



    まきマフラー買っちゃいましたッ!」


    まき「いやぁ、新しいフルエアロ組んじゃったよッ!」


    まき「17インチのアルミ、入れちゃいましたッ!」



  などとカキコんだときのみんなの反応が今から楽しみである。





  もちろん、「それらの全てがプラスチック製である」ということは、

  ココだけの秘密である。















今日は飛行機で札幌に戻る予定の日。


荷物をまとめ、空港まで両親に車で送ってもらい、

出発までの間、空港内の喫茶店で3人で会食を取る。



離陸までもう間もなくというところで席を立ち、搭乗口に向かい、

ありがたいことに見送ってもらいながら、

搭乗口の磁気チェックのゲートを通過する。















ビビィー!










ゲートのブザーがけたたましく鳴り響く。

不安そうに見守る、飛行機をあまり利用したことがない我が両親。



はいはい、分かってますよ。

いつものことだが、どうせまたベルトかブーツがひっかかったんでしょ。





両親に大丈夫だからと手で合図を送り、

「お客様、ちょっとこちらへ」と誘導する女性警備員の指示に素直に従う。





  女性警備員ベルトの周りを触ってもよろしいでしょうか?





ええ、どうぞ触っちゃってください。



かわいい子だなぁなんてニヤけながら、両手を高く上げ、

女性警備員による下半身のチェックに身を委ねる。





  女性警備員ご協力ありがとうございました、問題ございません。





ハイ、お疲れさま、では失礼。



再び両親に「それでは」と手で合図をし、

ベルトコンベアーから出てきた手荷物を受け取ろうと手を差し伸べる。















と、ここで突然、















  男性警備員お客様、ちょっと。










先ほどのかわいらしい女性警備員とはうって変わって、

屈強そうな男性の警備員がその手をビシッと制止する。





  男性警備員申し訳ありませんが、お荷物の中身を拝見してよろしいでしょうか?










今まで幾度となくベルトなどの磁気反応で二重チェックを受けてきた経験はあるが、

手荷物の二重チェックはこれが初めてである。



ちょっと不安になりながらも、どうせやましいものなど出てくるはずもないとのことで、

言われるがままに、手荷物のチャックを開け、男性警備員に素直に差し出す。





屈強そうな男性警備員の手によってショルダーは無残にもひっくり返され、

デジカメや電気シェーバーなどに紛れて、

使用済みのパンツやシャツが次々と荷台に置き広げられていく。





デジカメ? シェーバー? 一体何がひっかかったのだろうか。





一抹の不安を抱えながらも、

最も気になるのは、4日前にはき古した我がパンツ。



実家で洗濯しなくてもいいようにと十分な量のパンツを用意してきたのだが、

その判断が災いしたか。

実家で洗濯してから持ち帰ればよかった、ウ●コでもついていたらどうしよう。










横を通り過ぎる他の乗客たちの目線を気にしながら、

早く終わらせてくれよとソワソワしつつ待っていると、



パンツの異臭に鼻をつまみながらも、

首を獲ったりとばかりに誇らしげな顔を浮かべた男性警備員が突然、





















お客様、こちらのご利用目的は!?





と詰問する。










そ、それは・・・。





  まき「それはあのー、プラモデルの塗装に・・・テヘヘ・・・。」


  男性警備員機内には持ち込めません!


  まき!?










確かによく考えてみれば、缶スプレー系は


・持ち込みをあきらめる

・別荷物として預かってもらう


しか方法がないというのは理解できる。



しかし、今や離陸の時間もかなり迫っている。

別荷物として預かってもらうための手続きの時間があるかどうかも疑わしい。

このままでは、CIVICのプラモを黄色に全塗装するという計画は頓挫(とんざ)してしまう。





どうしようか・・・。










私は意を決して、

未だ不安そうに私を見守り続ける両親の元に駆け寄った。










  親父「どうした、何かあったのか?」

  まき「実は・・・。」















離陸時間もギリギリとなり、人もまばらになりかけた搭乗口の片隅には、


プラモの全塗装をとるか、飛行機への搭乗をとるか


で迷うバカ息子を一喝する、実に常識的な親父の姿があった。













札幌に戻ってきてからはや数日。


だいぶ正月気分も抜けてきた。





空港で強固に持ち込みを止められた缶スプレーも、

別荷物として預かってもらうことで何とか共に札幌入りすることが出来てひと安心。





さて、そろそろプラモ製作に取り掛かろうかと箱を開けようとしたそのとき、

手元に置いてあった携帯から、見知らぬ番号と共にいつもの着信音が。















ピンポロポッポッポー!










  まき「はい?」



  見知らぬ女性あのー、まきさんでしょうか?

  まき「そ、そうですけど・・・。」



  見知らぬ女性あたし、A子の妹のB子です。

  まき「えぇー、B子ちゃん!?」










小学校の同級生であり、初恋の相手でもあったA子ちゃんの妹、B子ちゃんである。










  B子覚えてますか?

  まき「当ったり前でしょ。いやぁ、久しぶりだねー、何年ぶり?」



  B子ホント、お久しぶりですぅ。










とうの昔に結婚してしまったとはいえ、

未だにかわいらしさを保ち続ける初恋の相手A子ちゃんの妹さんということで、

胸も踊り、心なしかテンションも高い。



正直、妹さんであるB子ちゃんも、言葉は古いがかなりマブいのだ。



それにしても、A子ちゃんが電話をくれるならまだ分かるが、

お互いに話をするのは十何年ぶりかとも思われるB子ちゃんが何故私に?

まさかA子ちゃんの身に何か?

嬉しさと共に多少の不安も頭をよぎる。










  まき「で・・・どうしたの、突然?」

  B子実はですね・・・。

  まき「う・・・うん。」




















  B子缶スプレーは飛行機に持ち込めませんよッ!


  まき!?















な・・・なぜそれを・・・? ときたもんだ。



その事実は我が両親しか知らないハズなのに、

いくらネットワークが発達したこの世の中とはいえ、

一体全体どう巡り巡ればその情報がB子ちゃんの耳に届くのだ!?



まさかうちのお袋、

行く先々で息子の醜態をさらけ出して回ったとでも言うのか!?










  B子まきさん、空港でボディチェックした相手のこと覚えてます?





あぁ、覚えてるさ、

俺のベルトやポケットを念入りに調べてたあのかわいらしい女性警備員だろ?





  B子フフフ・・・それ、あたしです。

  まきえぇー!!










聞くところによると、

私がゲートを通ったときから見たことある奴だなとは思っていたらしいのだが、

十何年も経っているため自信がなく、声を掛けるのをためらっていたとか。



ボディチェックだけでなく、缶スプレーを別荷物にする手続きも彼女がしてくれたそうで、

その書類に書かれた私のサインを見て、やはりそうかと確信したそうな。










  B子プラモデル、もう作りました?

  まき「いや、まだ・・・。」



  B子ブッ・・・ププッ・・・まきさんったら、荷台にパンツばらまかれて・・・ブププッ・・・。

  まき「ハ・・・ハハ・・・。」



  B子チェック中もなぁーんかすごいビビッてませんでしたぁ!?

  まき「・・・。」




















異臭を放つパンツをさらけ出してまでも、

缶スプレーを持ち込みたいと強く主張し続けたその恥ずかしさからか、

はたまた、

地元ではエリート好青年として通っていたというそのプライドからか・・・。




















サインじゃなくて

下半身のボディチェックで俺だと気付いて欲しかったよ




















今ではすっかり慣れたそんなエロオヤジトークも、

このときばかりは彼女の気を引くほどの異彩を放つものではなかったと、


後に俺は語る。





「2003年の正月」   完















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